醤油らーめん

思いつきSS「ギター」 「そういえば優未に見せたい物があるんです」 守矢神社にいく機会があって縁側でお茶を頂いていると、何かを思い出したらしい早苗が私の腕を引っ張って蔵に連行された。 早苗は蔵まで行くと、何も言わずにそこの戸を開けて私を押し込んだ。 そこで私は思わず声をあげる。 「わあ……すごい、懐かしい」 「でしょう? 外の世界から持ってきた物なんです」 そこには外の世界の道具が詰め込まれていた。 幻想郷では絶対に使えない様な物ばかりで、意味のない物ばかり。所謂ガラクタだ。だが、それでも私にはこのガラクタがお宝に見える。 ──蔵の中であれこれ見ていると、私はとある物を見つけた。 「おお……これ、ギター? 早苗ってギター弾くの?」 「昔ちょっとかじった程度です。覚えた曲も忘れてしまいました」 早苗がそんな事を言う隣で、私はその場で座り込んでアコギを膝に乗せる。弦を弾くと、少し外れた音が響いた。 「優未も持ってたんですか?」 「うん。エレキギターだけどね。勿論、格好良く弾けた試しはないけど」 ポロン、ポロン。外れた筈の音がなぜか耳に心地良い。 「弾けないのに、一丁前に部屋に飾ってたなあ。台まで買ってさ」 「眺めるだけでもう満足だったんですよね」 ポツリ、ポツリ。早苗が私の弦を弾く音に合わせて呟く。不協和音と早苗の綺麗なソプラノが私に届いてくる。 「弾けなくても、そのギターが部屋にあるだけで世界が変わって見えて。弾けなくても、ギターを持って楽譜を読むだけで自分が変わった様に感じたんです」 早苗が言い終わると、私は弾くのをやめて「私も」と返した。早苗は「やっぱり」と笑った。 「ね、何か弾いてみてよ」 「うろ覚えなんですって。音も外れてるわ」 「それでもいいから。ね?」 「もう……仕方ないですね」 蔵の中にリズムも音程も乱れた音と、たどたどしい歌声が響く。 お世辞にもメロディとは言えないかもしれない。この歌も知っている人は他にはいないかもしれない。 それでも、私にとってそれは、最高のコンサートだった。 END
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ネタが無い……だと!? これが巷で流行りのキレイな優未……。
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「あなたが落とした優未は、いつもネタにされてとばっちりを受けるダメでロクデナシな優未ですか? それとも綺麗な優未ですか?」 正直に答えると綺麗な優未がもらえます! レッツチャレンジ!←
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これは外来人の設定ならではのSSだね~
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早苗以外に誰かいればオリキャラを使わないで良かったんですけどね
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