吉原留偉

【じわじわ来る】暑い季節…それは部屋の隅でカサカサと音をたてていた。貧しくてゴキジェッ○なんか買えなかった私は仕方なく読み古した雑誌を片手にヤツの襲撃に備えた。カサカサ、カサカサと音はすれども出てくることはないヤツに痺れをきらした私は、こちらから退治に向かう事にした。懐中電灯を片手に息を飲むと、隙間に光を当てる。すると…何百の卵を背負った手足の生えた女性の頭部が身動きできずに動きまわっているではないか。ひっ!と声をあげると、女性の瞳がこちらを見据えた。私はあまりの恐怖に台所用洗剤をソレにめがけてぶちまけた。すると、頭部はものすごい勢いでバタバタと這いつくばって走りだし、ベランダから外へ逃げ出した。思わず腰を抜かしかけたが、トドメをささなければ同じ恐怖を味わうと思い、包丁をもってベランダにむかうと、となりのイケメンお兄さん夫婦のベランダから部屋に入り込んでいく姿が見えた。愕然となるが、自分の部屋から追い出せたことにホッとした。神奈川にすむお隣のイケメンお兄さん夫婦、ごめんなさい。カサカサ言っても気にしないでください。【怖い作品です】
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