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告白
うのたろう
2013/7/23 1:03
名前のない男女の物語。 告白という題材のみにしぼってシーンを描いているので、最低限の起承転結が存在しているだけだ。 これはポジティヴな意味でもネガティヴな意味でも、どちらでもとれる。 作者の意図としては前者であろう。 技術的なことでは特筆するべき場所はない。 しかししっかりとした語彙力があり、それを絞り文章のなかにちりばめる、そのバランスはうまい。 物語は「私」の片思いからはじまる。 そして学部の違う「彼」と交際をはじめるというところで終わる。 8頁という短いなかで、事実としてのシーンのみを抽出している。 したがって、情景描写にウエイトはおかず、もっぱら心理描写のみのつくりだ。 会話文もほとんどない。 このあたりはこのみの問題だろうと思うので言及はしない。 惜しい点は「彼」のせりふに無駄が生じてしまっている部分だ。 せっかくコンパクトにまとめたのだから、その部分も徹底すれば、研ぎ澄まされたナイフのような鋭さがでて、読んだ人間の心にしっかりと物語を刻めるだろうと思う。 なにはともあれ、短い物語なので読みやすいと思う。 興味があるかたは、ちょっとした時間のあいまに読んでみるといいかもしれない。
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うのたろう