星月渉

【コメント機能でショートショート】 『蝉時雨』 今年の夏は暑すぎて蝉があまり泣かない。 蝉時雨には程遠い。 「あなたって、本当に口ばっかり」 「自分が仕事できると思ってるの? 私、それ、違うと思うけどな」 「自分の事過信してない?」 「それ、私、格好悪いと思うよ」 「なんで、私がどこにいたか言わなきゃいけないワケ?」 「ゴメン、私、他に好きな人がいる」 蝉が、蝉の声が足りないからだ。こんなに聞きたくない事が聞こえるのは。 ああ。彼女の方がよっぽどうるさかったんだ。 蝉時雨のように。 遠くで蝉がないている。 あれはヒグラシだ。蝉時雨には程遠い。 夏が終わる優しい名残でしかない。 僕は小さなバスルームで、今年の蝉時雨を細かく刻みながら、時折ベランダに行き、ヒグラシの声を聞いた。 血まみれの手で。 end.
3件・6件
こーわーい(((゜゜;)))
3件
夏なので(笑) なんかお題考えようとしたら夏だし蝉かなと♪( ´▽`) わきーさん、なんか夏らしいお題下さい(笑)
2件
背筋が… 寒い
1件
夏なので。怖い話にしてみました♪( ´▽`)

/1ページ

2件