夏月 海桜

読了しました。本作について、一言で述べるならば、大人が読むに価する青春小説と言える。作者様は、古代や現代など多種多様な恋愛小説を手掛ける多才なクリエイターであるが、本作は青春と友情と恋を描いた等身大の高校生の話である。新たな境地を開拓した作者様だが、作者様らしさを失わない文章と表現力で有りながら、自分が高校生の頃を振り返れる作品だ。いや、振り返れるのでは無く、自分が高校生に戻ったかのような作品だろうか。何気無い日常を部活を通して浮き彫りにした作者様の腕は確かなもので、登場する高校生達全てが、様々な事情を抱えている。その事情を、自分で何とか出来ても出来なくても、分かち合い、支え合っている高校生達が眩しい。大人から見れば、子どもの悩みなんて大したことは無い。などと思いがちになってしまうと、自分が子どもだった頃を忘れてしまうものだ。本作は、そんな忘れかけた昔を思い出させてくれる上、そういえば自分もこんな具合に悩んでいた事が有ったな……と共感も出来る。悩み多き思春期の子ども達が読んで共感出来る作品だろうが、大人が読んで、今一度思春期の頃の自分を体現するのも良い作品ではないだろうか。また本作は、メインの登場人物にあたる4人の男女の高校生がいるのだが、4人ともが吹奏楽部に入部している。その為、楽器名や楽曲名が描かれているのだが、音楽好きな人も、音楽が苦手な人も、このような楽器や楽曲が有るのか。と、知識が増えるのでそんな読み方も面白いと思われる。それは、章タイトルにも現れていて、作者様が付けた章タイトルの選択からも察せられるように、作者様の知識力と音楽に対する愛が垣間見える作品となっている。音楽が好きな方でも苦手な方でも、知らず知らずに知識が増える上、悩みながらも立ち止まらないで歩き出す4人に、現在の自分あるいは、かつての自分を重ね見て読まれるのも楽しいだろう。もう一度、これだけは言える。大人が……いや、現在青春真っ只中の若い人達も、読むに価する青春小説である。
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いつも力作レビューありがとうございます! 青春小説…いやん、なんか恥ずかしい。 でも、大人になりきる前だからこその、恋とか友情とか、書いてみたかったんですよね。 音楽はですね、付け焼き刃の知識なんで…。
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いやいやいや…… 拙いレビューで、この作品の良さが伝えられているのか、疑問ですが(>_<) よろしければ、お納めを…… 素敵な青春小説をありがとうございましたー♪ 番外編も楽しみにしてますー♪

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