エブリスタ
さがす
本棚
通知
メニュー
コメント
Ao
Ao
2013/7/31 17:29
「いっちまーい、にーまーい、さーんまーい」 六条アトは、アスファルトに倒れたまま、声に合わせてぴらぴらと捲られていく紙幣を呆然と眺めていた。 「なーな……ちっ、千が七、万が零。あーあ、今回のカモはしけてんなぁー……なぁ?」 不良は言葉尻に合わせるようにして、べたりと投げ出していたままだったアトの右腕を蹴り飛ばした。情けない悲鳴だけは漏らさぬように、とアトは必死に歯を食い縛り堪える。 「……っ!」 そんなアトを見て、目の前の不良はニタリと嫌な笑みを浮かべた。 「なぁ、おい。来週さぁ、オレ、ちょーっと金が必要なんだよね? 従兄弟の姉の夫の再従兄弟が事故っちゃってさぁ。岐阜県まで行かなきゃなんねぇの。交通費が必要なんだよ」 ―――――でたらめすぎるだろ。 内心の文句に添わない表情で不良を見上げるアト。 「だ、か、ら。来週、お金貸してくれませんかぁー? 来週つったって、そうだなぁ……土曜にここ、辻岡ボーリング場の脇。夜六時。今日は月曜だから、約二週間あんだろ?」 不良は、恐らく主観的に見て出来るだけ爽やかな。アトから見て下卑た笑みを浮かべて、死刑宣告にも等しい発言をする。 「約二週間ありゃあある程度纏まったカネ用意出来んだろ? 来なかったら月曜にお前の高校まで迎え行くかんな、槇岡高校の男子生徒Aくん?」 昨日のコメントの物語の、冒頭部分。 気が向いたら続きを。
いいね
コメント
この投稿に対するコメントはありません
Ao