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 そこらに溢れる烏合の一部、襲い掛かってきた一人の絶対正義の戦闘員を素早く斬り捨て、その白タイツに包まれた体を前方に蹴り倒した、その時。 「……うぁ!?」  聞き慣れたはずの銃声が、葉月を貫いた。  激痛を感じて右上腕へと視線をやれば、頑丈な戦闘服には無惨にも穴が開き、そこから勢いよく流れる血が視界に入る。更に、衣服の隙間から見える皮膚には銃創が視認できた。 「なんでだ……っ!」  弾の飛んできた方向――真後ろを勢いよく振り返り、叫ぶ。  すると、後ろで騒々しい音をたてながら楽しげに弾丸をばらまいていたイエローは一旦連射を止めて軽く手を握り、それをコツンと頭に当てて、 「あー、ごめんごめんー! わざとじゃないからさ、許してね! てへ!」  がくり、と葉月の体から力が抜けた。

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