ストレス発散4 その日は、数日前の戦闘が嘘のような晴れやかな幕開けだった。 だけど、敵幹部の二人との戦いの爪痕はありありと残っており、あの戦いは実際にあったのだと思い知らされる。戦いが現実的に感じられないのも、決着が簡単についてしまったせいだ。 その決着をつけた存在は前大戦の英雄だ。 彼は僕らがやられそうになったとき、世界と世界の狭間にある空間から帰ってきた。 その姿はボロボロで、見るからに満身創痍だった。だけど、彼の強さは圧倒的だった。僕らが手も足も出なかった敵を二体同時に相手をし、蟻を踏み潰すかのように一蹴してしまったのだ。 その異常な強さが僕はとても恐ろしかった。だけど、眠る彼は僕と何も変わらない人間だった。 そんな彼は目を覚まし、彼女を含めた家族と再開した。一人として血の繋がりは無いけれど、家族の間にある繋がりは、とても強いものに見えた。 欠けていたピースが見つかり、ようやく元の形に戻ろうとしていた家族を、悲劇がやってきた。 英雄は 、ただの罪人になった。

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