神楽 佐官

 脇目も振らず、必死に目的に向かって突っ走るという人がいる。  この作者様はそういう猪突猛進タイプではないんじゃないかと。  つい、道端に咲いている路傍の花を見てしまう。  決して暗い小説ではないのだが、行間にどこか寂しさを抱えているような文章。  わりと今どきのラブコメっぽい展開もあるのだが。  明るさのなかにもどこか厭世観を抱えている。  ギャグで笑える場面もたくさんあるが、どこか人生の悲哀を知ったピエロが人々を楽しませるように踊っているような、そんな小説……と感じたのは僕だけでしょうか? (途中、寂しさのかけらもないアレな場面も出てきますが……)  口ではうまくいえないんですけど、そういう寂しさがこの小説の隠し味になっているんじゃないのかな、と勝手に思ってしまいました。
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