大和丈一郎

夜が明ける前に旅立とう いとしき者たちに別れを告げ あのコがくれた情愛 その胸に 悲しみはいつしか 想いやりへと変わり 悔しさは 大き な力へと変わる 儚さが美しいから 敗れても 敗れても 何度敗れても ま た歩き出す 勝ち目のうすい 孤独な闘い それでも心の奥底で かす かな炎が揺らめいてるから よろめきながら 歩いてゆく つまずき転び 足をくじい ても 這いずりながら 登ってゆく まんが坂を登ってゆく あのコが俺を 待ってると あのコが俺を 待ってると 孤 独な心に言い聞かせ まんが坂を登ってゆく 這いずりながら 登ってゆく 一筆入魂 夢の果てまで Fight!
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私は無意識のうちに反転すると、千津子の上に覆 いかぶさった。 黒目勝ちな千津子の瞳から、美しい雫がひとす じ、頬を伝う。 「私も、英二と一緒に東京に行くけんね」 千津子は静かに笑って言った。 「ああ、そうじゃのぉ……」 言いながら私は、千津子の唇に唇を重ねた。 放縱な女が初めて見せた、無垢な情愛が、私の胸 を打ったのだろう。 私の中からヒロイズムが去り、リリシズムだけが 残った。 交際するようになって一年…… この時ほど、この女を愛しく思ったことはない。 西陽の射し込むうらぶれた部屋で、私達は溶け合 い、ひとつの流線型になった。 千津子のあでやかな嬌声が、清艶な旋律のよう

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