にゃんデッド

大人の恋。正直に白状しますと、エブはおろかリアルでさえ全くの専門外。ノベリスタの作品を読もうと思って、ぶっちゃけますと昨日初めて触れた分野ですwただこのジャンルに触れて二日目で何となくわかったのは、大人の恋とは、恋というものが何なのか分からなくなる事だと思うのです。ただの『好き』をぶつければ良いはずの感情に、しがらみとか慣れとか他に考えなければならない事がたくさん纏わりついて、踏み込んで良いのかどうかを迷ってしまう人々の姿が大人の恋なのかなと。 この作品はそんな大人の恋心というのが、ストレートにずっしりと描かれているのではないかと思います。特に冒頭の描写はすごく良い。躊躇いながらも初めての経験を求める少女の微熱と覚悟がとても美しく描かれていて、不詳隣の猫、不覚にもゲフンゲフン……www 貴幸と緑の関係も好きです。『本気の女となら怒らない』読んでる方まで酔ってしまうような素敵な台詞だなぁと思いました。ついつい甘ったるい雰囲気に酔ってしまいそうになりますが、最後、沙希の瑞々しい存在感が作品をスッキリと引き締めていますね。 ただ掛け値無い感想を述べれば、雰囲気に頼りすぎているという印象もあります。例えばテーマとして、最初のシーンで沙希の愛の価値観を明らかにしたのならば、貴幸や緑のそれも、もっと克明に描いて対比しても面白かったかもしれません。大人の恋は先に述べた『纏わりつくもの』の数や質、量に比例して濃くなって行きますから、貴幸と緑の関係をもっと掘り下げてからラストに持って行っても面白かったかもしれません。言ってしまえばどこまでも王道で、どこにでも転がってそうな話。だからこそそれを雰囲気だけではなく、どんなテーマを意識して読者にどう見せるのかが、面白さの鍵ではないでしょうか。 ただ先にも述べました通り私はこの分野素人ですので、一般的な物書きのご意見として受け取っていただければ^^; 全体としては多くの読者の需要をしっかり満たせるクオリティと内容が揃っていると思います。 十分、★五つ。
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