『憑いてるんです!? とある幽霊少女との日常』講評 /_novel_view?w=19091852 ※※一部ネタバレを含みますのでご注意ください※※  お話全体の雰囲気作りがとても巧みだと感じました。薄暗くかび臭いお屋敷のイメージ、主人公の不穏な心情を象徴するように雨が降ってくる描写など、まるで映像が目に浮かんでくるようです。  内気な主人公・海江田護のまわりに次つぎと美少女が現われてきて、次第にハーレム状態になっていく様も楽しく、とても興味をひく展開だと思いました。特にキャラが立っていてユニークだと思ったのは三毛猫女のかづきですね。  ただ一方で惜しまれるのは、かづき以外の少女キャラがいささか個性に乏しく、お話の中に埋もれてしまっていることです。  中には途中からほとんど活躍しなくなってしまうキャラクターもいますので、登場人物は全体的にもう少し整理した方がよかったかも知れません。  例えば、私ならば、冒頭から登場している幽霊少女の命(みこと)をもっと全編にわたって活躍させ、他のクラスメートなどは大幅に省略してしまうかも知れません。その上で新たに主人公とは真逆の性格の男子キャラをひとり登場させるとか。ただしこれは私の私案ですから、それ以外にも、本宮TSUKUSHIさんならではのお話のふくらませ方はいくらでもあると思います。ぜひお話がふくらむ展開を考えてみてください!  主人公のキャラクターも、少年読者を意識したコミック作品にする場合には、もう少し強い個性を持たせる必要があるでしょう。基本的には口数が少なく控えめな少年だとしても、じつは彼に秘めたる才能があったとか、彼にしかできない使命があったとか、特異な性格の持ち主であるとか、なにか突出した“個性”を持たせるべきだと思います。  ストーリー展開も少年マンガのペースとしてはやや遅いように感じました。冒頭に書いたように場面場面の雰囲気作りはとても上手なのですが、街から犬が消えるという事件が発生して、お話がようやく何か動き出したな、と感じるのが700ページを過ぎたあたりというのでは、なかなかそこまで読者の興味をつなぐのが難しくなってしまいます。  ですので、こうした出来事をもっと早い段階で描き、「この先どうなるんだろう」と、読者の興味をぐいぐいと引っぱっていく構成をぜひ考えてみてください!!
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