清瀬 美月

何度か読み返していましたが、レビューするのに少し迷っていた作品です。 とても静かで穏やかな世界観。 いったい時間がどれくらい経っているのかわからなくて。 彼女は生きているのか、亡くなってしまったのか、それとも全て夢の中なのか、判断がつかなかったんです。 解説を読んで、わかりました。 この静けさが、ちょっと不気味なくらい淡々としているのは、彼女の心が閉ざされているからなのですね。 美しい情景描写、効果的な色の使い方、映像ならば一瞬で終わるようなシーンも、とても丁寧に書かれているのに、音が聞こえてこない。 最後の子供たちの悲鳴が聞こえてきたところで動きが感じられ、読み手も現実に引き戻されたような不思議な感覚。 私は好きです。 印象深く、記憶に残る作品です。
1件

この投稿に対するコメントはありません