前回の続き  ユウカとの距離は肉眼でなんとか姿を確認できる程度だ。電柱の陰から見守る。  ああ、離れてるというのにユウカの可憐さは全く劣らないな。ユウカ、可愛いよ。ユウカ。  しかし、俺としたことがカメラを忘れてしまうとはなんたる失態。これじゃあスウィートマイエンジェルユウカたんを後で愛でることが出来ないじゃないか。仕方ない。ここは俺の脳内フォルダに永久保存することにしよう。  なんてユウカの可愛さに現を抜かしているとどうやら友人らしき女の子とユウカが合流した。  ああ、友達に向ける笑顔もなんて愛らしいんだ。天使以外の何でも無いな。脳内フォルダに保存っと。  フォルダにさっきの笑顔を保存していると、俺の横を誰かが駆け抜けていった。次いで響き渡るユウカの悲鳴。  な、なななな、ユ、ユウカがスカートめくりをされただとぉ!?  あ、相手は誰だ!? あのクソガキかぁ!?  俺の視線の先にはスカートの裾を押さえるユウカと手を頭の後ろで組んだクソガキがいた。  ああ、羞恥に頬を染めて涙目で怒るユウカも可愛い……ってそうじゃねぇ!! あのクソガキ、ユウカになにしやがんだゴラァ!! 鉄拳制裁じゃすまさねぇ。  懐から怪しげな蝶々の仮面を取りだし装着。 「よし、行くか」 「よし、じゃないわよ変質者!」 「いてぇ!?」  後ろから突然殴られ振りかえる。  鬼がいた……。 「な、なんでアスカがここに? もう登校してるはずじゃ……」 「ユノアちゃんから私用で遅れるって聞いてまさかとは思ったけど、本当にしてるとは……」  呆れたようにアスカは溜め息を吐いた。 「ご丁寧そんな変装までして。ほら、とっとと行くわよ。ただでさえ遅刻ギリギリなんだから」 「ウルサイ!! 俺はあのクソガキに説教しなきゃならないんだ! ユウカのスカートをめくったんだぞ! 俺のスウィートマイエンジェルの触れやがったんだぞ!!」 「あんたのがウルサイわよ! だいたい、子供のすることでしょーが。まったくこのバカは……」 「嫌だー!! ユウカ、ユウカー!! パパが守って上げるからなー!!」  ああ、ユウカの姿がどんどん遠ざかっていく。愛してるぞ、ユウカー!! 「ユウカちゃん、あれ……」 「おまえの兄ちゃんと姉ちゃんおもしれーな」  人知れず、ユウカは溜め息を吐いた。
1件・1件
鬼がいたは吹きました。SSはもう少し待って下さい。

/1ページ

1件