rossony07

 だからこそ、良く分からなかった。  過去の経歴を見る限りでは彼女たちは隼垣の命を狙っていたというのに、今は全く真逆の立場である護衛。  ……“何か”があったんだ。  戦うだけの彼女達は“何か”を見出したんだ。 (……じゃなければ、彼女達は一体どうやって……)  確かめなければ……ならない。 「……ん」  不意に飛び込んできた刺激的な香り。  いつの間にか人が多く居るところまで来てしまった。噴水がある……広場か?  来た道を戻ろうとしても……出来ない。  この刺激的な香りは悲しいかな、私の心を掴んで止まない。  意を決し、香りの元まで歩いて行った。 「屋台って……今時……」  小さな屋台だった。近くにいくつかのテーブルが置いてあり、そこで買ったものを食べるのだろう。  看板を見ると、私の胃袋が急にざわつく。 「『激辛やきそば』……?」  写真を見る限り、辛みを加えたシンプルなソースやきそばだ。  張り紙には小さく『自己責任で!』と書かれていた。 「いらっしゃい!」 「激辛やきそば一つ。……大盛りで」  人の良さそうな店主の顔が一瞬で曇った。

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