rossony07

 女性の中に一人だけ男がいた。……どうしてあんなに肩身が狭そうなんだろうか。  その男が僅かに動くと、陰に隠れていて良く見えなかった二人の姿がはっきりと分かった。  銀髪と金髪というこの平和大国日本じゃまずお目に掛かれない髪の色。 (留学生かな? まあ、どうでも良い――)  そこまで考えたところで、ふと“その可能性”に気づいた。 (……いや、まさかね。いくら何でも、堂々とし過ぎている)  それに、こんな白昼堂々、おまけに人目が沢山のこの場所で仕掛けてくるような奴らじゃないはず。    仮にも防衛省だ。  いくら素性を隠しても、突き止める奴は突き止める。 (なら……良い)  こんな“平和”な場所で生きるか死ぬかのやり取りなんて御免被る。  プロジアの命令だとしても、やってたまるか。  ――きっと、私は少しだけ毒されてしまっていたのだろう。 (まだ、その時じゃない)  そう考え、追加で焼きそばを注文した。  食えるときに食う。これは基本だ。    ――自分でも気づかないうちに、“見過ぎていた”。

この投稿に対するコメントはありません