花崎 蛍

お初にお目に掛かります。 ベストレビュアーズから参りました、花崎蛍と申します。以後よしなに。 処女作とは思えぬ出来映えに思わず頬を弛めてしまいますが、評定の方に移らせて頂きますね。 先ず私が気になった点として句読点が多い事でしょうか。 一般の小説や作文であったのならば構わないのでしょうけれども、携帯小説としての体系には些かそぐわないのでは?と。 勿論文法としては正しい用法が多いのですが、携帯小説はテンポを重視する傾向にあるのでそれとして受けると違和感を感じてしまいます。 謂わば純文学の類いに近いのではないかと。 話全体の作りとしては処女作ならば非の打ち所がありません。 たった6ページに詰め込まれた起承転結、脱帽で御座います。 図書館に通う主人公が本を好かないにも関わらず図書館へ赴く事に始まり。 図書館へと通う理由が明かされると同時に先に現れたカップルを伏線として回収。 本へと興味を示してそこへのめり込み本の世界が描かれたところでの女神の登場。 しかしながら残念なのが結の曖昧さ、でしょうか。 私が読んで感じたのは、最後の結の部分より前。物語にのめり込み始めた辺りまで遡りますが。 主人公は朗読をしてしまっていたのでしょうか? そうなれば女神の彼女が声を掛けるのも頷けますし、「お静かに」との言葉にも深く納得出来ます。 その他にも主人公の「大好きです」発言のみで図書館の視線を集めるとは考えづらいので、そう解釈致しましたが如何でしょうか? 読み手に解釈を委ねたジョークとも受け取れる結の部分、著者様がどの様に考え描かれたかは分かりかねますが。 もし私の考えた通りであるならばあと一つヒントが欲しかった所でしょうか。 結果、女神の彼女に失恋しているとの宣伝の前情報が無ければ難しい所です。 もっとも私の理解が及んでいないのでしたら申し訳無い限りですが。 総評として、処女作とは思えぬ完成度は語るまでもなく。 少年の淡い恋心を現代の調子で皮肉ったジョークが効いた著者様の作風はクスッと笑えて擽ったくなるものがありました。 依頼のついでの様で申し訳無いのですが、星の方も五つとさせて頂きます。 短くも濃い、淡い恋の作品。堪能させて頂きました、有り難う御座います。
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