rossony07

 ……そう、思えればどれだけ良かったのだろう。  エイジアに会うまでの私なら、きっと完璧に感情を処理できたはず。  なのに、今は――。 (……馬鹿馬鹿しい。私は、私だ)  ああ……会いたくなかった。  彼女達に、会いたくなかった。  私がとても矮小な存在だと、大海を知らぬ蛙だと、そう突きつけられているような気がして。  気づけば、私は席を立っていた。  恋澄が警戒した様子で構えるが、気にしない。 「ここでやり合う気は、無い」  両手を挙げ、非交戦の意を示す。  普段なら絶対にやらないこの行動も、きっと恋澄の眼を見てしまったから。  どうにも、私はまだまだのようだ。  感情を完璧にコントロールできるようになったと、そう思っていたのは自惚れだったか。  出来れば、彼女とは《姉妹》時代に、私はエイジアと会う前に出会いたかったよ。  もしそうだったら、こんな気持ちになることもなく。  敵は敵として処理すべく全力を尽くせただろう。 「そして、これからもやりたくはないかも。君達は、“こちら側”にはもういないんだから」  どうして私から関わってしまう人間はこうも、私を乱すのだろうか。

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