花崎 蛍

 全体的に書き口はライトノベルらしく、縦書き横書きを問わずに読み易くはあるのでしょうけれども。  触りがやや固くなりがちだったでしょうか、他にも時折ふと文章の中の柔らかさが固くなる時が見受けられました。  指摘させて頂くならば、解説、でしょうか。その時だけ主人公の視点から外れ、著者様が語っているような。  ライトノベルは知識の泉である、という著者様のお言葉を耳にしたからも知れませんが、そこに対する思い入れが如実に現れてしまっている様な気が致しました。  読み易さに更に読み易さを加えた、携帯小説でのライトノベル、よりかは格段に身になるとは思うのですが。  最初期での共感がやや薄く感じられ、立て続けに説明で畳み掛けられては、携帯小説のライトノベルを読みに来られた方はその辺りでリタイアしてしまうのでは。と。  例えるなら、ファンタジーで長々と世界観の解説から入るものなどがありますが。読み飛ばされてしまったり、そこで読むのを止めてしまったりで、好きな方でないとのめり込めなくなるのと同じかと。  主人公とヒロインのキャラクターを印象付けるなど、譲れないものもあるかと思うのですが、序盤の役割は導入部。読者を導き入れる為にあるのかと。  また話数連載の名残か、詰め込んだ部分と削った部分があるような、チグハグな印象があったのは確かです。  如実に感じたのは、ヒロインはバカではない、とした主人公。  主人公と同じ情報量でその前の台詞だけから推察するのであれば、バカではないとは断言としても。その後の寧ろ頭が良いとまで飛躍させ、明確な手段まで組み立てているだろうと予測させるのは無理があるような。  余程主人公が賢いか、観察眼溢れるか、もしくは独り善がりか。  恐らく比較的しっくりくる独り善がりだとして、それを主人公に設定するならば、その後にヒロインが賢く見られる描写の意義がありませんしね。  何らかが削られた違和感、というものをそこから感じました。  文字数の関係で一章のみに触れる形となりましたが、依頼の形でレビューさせて頂く前から拝読している身としては。  ウェブや横書きを意識せずとも成立する、読み易い文章を書かれており、著者様の培われた技量が伺えるかと。 大半が感覚的な物言いで申し訳ない限りですが、以上にて〆とさせて頂きます。 ご依頼有り難う御座いました。

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