rossony07

いえいえ。私も遅くてごめん。 戦闘、気に喰わなかったら直すわ。 (……手練れだ)  姉妹の片割れから隠れるように樹の裏へ隠れ、一息。  ナイフや銃が当たり前のこの現代に、時代錯誤とすら取れる剣が武器とは恐れ入った。  しかも相当に仕上がっているとみた。 (恋澄ではないから……あれが愛良アンナか)  彼女らの言葉を借りるなら“妹”の方。  プロジア曰く、白兵戦のスペシャリスト。 (……くそ。気に喰わない)  彼女の“生きている”眼がこれほどまでに私の前を塞ぐものとは思わなかった。  これならまだ知らない方が良かったと思う。  ふと銃を見る。銃身で剣を受け止めてしまったせいで、傷が入ってしまった。  問題なく作動する程度の損傷だけど、それでも彼女の力量を知るには十分すぎるもの。  ――殺気。  見上げると、樹の枝を蹴り、こちらへ向かってくる彼女が。  両の腕を振り上げ、今必殺の一撃を叩きこまんとする瞬間。  気づけばバク転していた。  それでも左肩の鋭い痛みが回避失敗を無情にも告げる。  屈んで、彼女の右袈裟斬りを避けたと思った次の瞬間には逆の剣による斬り上げ――。

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