あるところに不良少年がおりました。 少年は学校にこそ通うものの、しょっちゅう揉め事を起こしては謹慎処分を受け、校則を破っては厳重注意、日中家には殆ど帰らず帰るとしても小遣い請求……母親はそんな息子にほとほと呆れていました。 そんな五月のある日曜日のこと、少年が久しぶりに昼間に帰って来ました。母親はきまりが悪そうに少年を迎えます。少年は機嫌の悪そうな顔で黙ったままです。 おかえり、と一言言って少年に背を向けます。するとすぐさま少年は珍しく慌てた様子で母親を呼び止めました。 いつもと違った雰囲気を不思議に思った母親は振り返ろうとするや、少年が何かを押し付けてきました。それは……綺麗にラッピングされた一本の可憐な花でした。 そう、今日は母の日だったのです。少年は顔を真っ赤にして視線を横に向けたまま言いました。 「い、いつも……ありがとな」 そんな少年に母親はクスリと手元に咲く花の様に笑って、こう口にしました。 「これワシから貰った小遣いじゃろ」 こんばんはぷーさんです。 母上に最高の感謝を。
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