綿森霧絵

心にそっと寄り添ってくれる、とても綺麗で温かいお話です。 登場人物は等身大の高校生で、心情の描き方が丁寧でした。 だからすっとお話に入り込めたし、彼らが実際に生きているんだということが伝わってきます。 生きているからこそ、人と触れ合え、温かい気持ちになれる。 しがらみに囚われ、前に進むことが苦しくなってくる。 翼ちゃんと麻斗君が互いの存在に救われて少しずつ想い合っていく様子は応援せずにはいられませんでした。 「俺も、翼さんと出会えて、よかったです」 一見月並な表現に見えるかもしれませんが、この台詞が一番印象に残っています。 麻斗君の心の底からの言葉にその後涙が止まらなくなりました。 その場面を過ぎても思い出しては涙腺が緩みます。 楽しくて甘酸っぱく時々切ないなんてキラキラしたところだけではない、 悲しみや苦悩等生きているからこそ感じる辛い気持ちも丸々包み込んだ確かな青春物語だと感じました。 ずっと手元に残しておきたいです。 素晴らしい作品をありがとうございました。
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