岡田朔

『器見』というタイトルがまず何なんだろうと気になりますよね。 しかも趣のある表紙を飾る古い学校のような写真―――これが非常にこのお話の脳内イメージを高めてくれます。さすがハトメさんとしか言えないセンスなんですが、飴色のような深い色合い、これがこの作品のイメージだと私は思います。 第九十九相談室の怪人という副題がついていますが、勿論怪人が出てくるわけではないです。 器見をする際の描写がまたとても緊張感があって、作品全体の持つ少しファンタジックな色合いと混じり合いとても美しく、もの悲しいです。 器見って何だろうって思うでしょ。 3話のオムニバス形式になっているこの作品、全体を通して芸術がテーマになっていると私は思います。描かれたその芸術性にはっとさせられ、主人公と一緒になって心を悩ませ、目を潤ませます。 そこで器見が出てくるわけですが、器見って何だろうって思うでしょ。 それは自分の目で、この世界を体験して貰いたいから内緒です。 きっと読んで後悔はしません。心に深く残る話だと思います。 個人的には、バレエの話がとても好きでした。 そして是非ともなんらかの続編を希望します。
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