これぞ文学作品であり、最高級の社会派サスペンス・エンターテインメント!  オープニングの裏渋谷における《悪の蔓延》シーン。  そして、日常の幸せを《悪意》によって断ち切られたヒロイン・沙紀の闘いの始まり。  脱法ハーブというアイテムそのものが、実は暴対法であったり、警察(マル暴)とヤクザの相関関係であったり、またはシノギに生きるべく大手ゼネコンに衣替えした組の歴史を集約した「法と理のあり方」をさらりと描き出していることに気付くと、この後のストーリー展開がより楽しくなって来ます。  大手ディスカウント・ショップ襲撃事件と、その背後にある経済犯罪や金融マフィアの影。地名が章ごとに移動する《真の理由》が判明した時、作者様の完璧な叙述トリックのテクニックに感激しました。  浅草という粋な土地柄に、裏渋谷などのダークな世界とは対照的な人々 ……竜、マサ、ママがおり、沙紀と共に行動して行くという《チーム型ハードボイルド》は、本当に読み応えある魅力です。  キャラクターのみならず、池袋サンシャイン(北大塚から渋谷にかけてのエリア)などの情景描写、加えてミカジメや港湾労働者と任侠の歴史、公開情報の活用、リアルな捜査過程、ペーパー・カンパニーやフロント企業というディテールを確固たるものにしている丁寧な作りは、読書家として好感が持てますし、純粋に感銘すら覚えます。  樋口刑事、山口などの脇を固める人物の生き生きとした造形、格闘・カーアクション場面の躍動感もさすが。    DeLA(笑)こういう細かいニヤリとさせられるネタが随所に見られるのは、嬉しいですね!  日本ミステリー文学大賞や、江戸川乱歩賞に応募していても通用するレベルのお話です。 『ザ・ラスト侠客』を読むことができ、心から幸せです。
1件・1件
過分なお誉めのお言葉ありがとうございます。私生活が多忙で更新が止まっておりますが、なるべく早く再開したいと思います。その時はまた読んでやって下さい。
1件

/1ページ

1件