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48人のマリオネット
岡田朔
2014/6/15 0:22
私は知っています。 あなたが、愛した人の棺に一人で涙をこぼしている事を。 消える事のない温もりを時々確かめている事を。 奪った以上に、心の中の沢山のものを失っている事を。 48回目のその時を迎える日を怖れている事を。 クラウス・フォン・ヘルトリング伯爵 ―――私があなたに仕え、どれ程の月日が過ぎたでしょう。 初めてあなたを見た時、その美しく青く澄んだ瞳の翳りに私は心を奪われました。 それからずっと、その瞳の翳りが晴れることはなかった。 願わくばこの新しい地が、あなたの安息の地にならんことを。 47の棺が並ぶ地下室に蝋燭の灯りが揺れる中、棺の前に膝まづき、 表情のない人形と化した、かつての愛する人に口づけするあなた。 いつかその心が癒される日が来ることを私は願っています。 クラウスに仕える若き執事コンラッド、彼の存在はいつもクラウスの傍にあります。 彼の目を通して描いたら、きっとこんな風に見えていたのではないでしょうか。 もし、あなたの命が明日尽きてしまうとしたら。 もし、誰かの心を奪う事でその命が続くとしたら。 もし、それがあなたの愛する人の心だとしたら。 もし、それを幾度となく繰り返さなければいけないとしたら。 あなたが選ぶのは、自分の命ですか。 それとも愛する人の命ですか。 「僕はもう永遠の命など欲しくはない。温かなこのひとときが息を引き取る瞬間まで続けばそれでいいのに」 吸血鬼の青年が渇望するその想いは、私たちの心を強く締め付けます。 それはまるで、あなたが愛する人を失ったその時のように。 「私はあなたの為に生きる覚悟をもう何百年も前にしているんです」 真の愛とは何か、生きる事とは何なのか。 ―――強く心に問いかける、鈴木琉佳が送る究極の愛と奇跡の物語『48人のマリオネット』 是非お勧めします。 (★)
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