ナナヤシキ

【Over//Worldあらすじ③】 第三章【Life】 「生きて」 最期に一言そう言って、彼女は寂しげに微笑んでいた── カズキが“漂流者達”に参加してから初めて保護したドリフターは儚げな笑顔を浮かべる一人の少女。 ミドウ・エミという彼女と過ごす内にカズキはこの残酷な世界で初めて守りたいと思う存在を自覚する。 だがしかし、世界は彼らが思う以上に酷薄な現実を突き付ける。 吹き消されていく仲間の姿を前にして、少年は恐怖に凍り付くしかなかった。 もはや自分もこれまでか。そう諦めかけたカズキを庇ったのは── 「なら、強くなれ。強くなりたいっていう思いが強い奴は絶対に強くなれるから」 失意に沈む少年の背にかけられる、そっけないながらも確かな温かさを持つ言葉。 フタヒから与えられたその言葉を胸に、カズキは今一度刃を取る。 今なら分かる──僕は、君の笑顔を守りたかった。 君が笑うことができる世界に送り届けてあげたかった。 笑わせてあげたかった。 繋ぎ止め続けてあげたかった。 ……僕は、君にこそ、生きていて欲しかった。 もう、それは叶わないけれど── 「……強く、なる。もう誰も死なせない……皆を守れるくらい、強くなってみせる……!」 噛み締めた決意と共に、少年は新たな一歩を踏み出す── 【つづく】
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