Satori

あいのかなで、読ませていただきました。 オペラをテーマに、葛藤を乗り越えて希望に向かっていくことをメインに描いたヒューマンドラマで、非常によくまとまった話という印象を受けました。 ストーリーの中に自然に感情描写が織り込まれていて、優輝さんの文章はほんとうに読みやすい。 なめらかで読みやすい文章バランスは、それそのものが奏でられる音楽や歌のようで、序盤からすぐに引っ張られました。 恋愛に不慣れな奏と、スランプ時の亜矢。 キャラクターそれぞれの描写の書き分けもいい。 同じ役を奪い合う二人が正反対とも言えるきっかけで晴臣というひとりの男に興味を持つというのも面白く、晴臣が二人に対して違った形の興味を持つというのも良かった。 何を以てして良しとするかが難しい芸術の世界の話は、ある意味どうとでも書き様があり夢物語になりがちな印象がありますが、優輝さんのストーリーは地に足がついていて、徐々に膨らんでいく葛藤がスランプとなり、ダイレクトに歌に響いていく過程等、繊細な心が上手く描かれていました。 中盤からの展開。ユリア夫妻の影響を受け、楽しむこと、新しいもの、良いと感覚で感じるものを素直に受け止めて、もがきながらも必死に立ち上がろうとする真っ直ぐな奏の姿が良かった。 優輝さんは本当に文章が上手いので、その分読んでいて欲が出ます。 日常的すぎる疑問で申し訳ないのですが、やはり珍しいテーマなので、何故彼女たちが他の何でもなくオペラじゃなければいけなかったのかを知りたかった。 「オペラ=歌」という方程式は頭の中にありましたが、逆にそれ以上の知識はなかったので、(無知で申し訳ない……)そう思ったのかもしれません。 執筆お疲れさまでした。 また他の作品も読みに伺います。
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Satoriさん、レビューありがとうございます! 文章自体が音楽のようだなんて言っていただくのは初めてです。 音楽をひとつのテーマとして書いた作品なのでそんな風に感じていただけてすごく嬉しいです! 夢物語、分かります。紆余曲折ありながらも団体内でトップになり、国内でトップになり、世界的にトップになり……そんな大成功の過程でも書きようによってはいくらでも面白くなるのでしょうが。 この話がそうはならなかったのは、私にとっては彼らが夢の途中にいることに意味があったからなんですね。等身大に置いておきたかったというか。 (((私自身がそんな広い世界に飛び出したことがないので書けなかったというか←))
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