白羽莉子

 四方が山。文字通り何もない田舎。冬場の冷たい風が吹く。仙台から六時間。山梨県の片田舎。友達の由希の故郷だ。正月休みを利用して帰宅する由希に頼んで連れてきてもらったのだ。 「梨子、どこか行きたいところある?」 「富士急!」 「遠いし、すごい混んでる」 「んじゃあ、アウトレット」 「小淵沢にあるけど小さいよ?」 「えー。それならカラオケ!」 「仙台の方がハイスペック」 「……じゃあ、由希がつれていきたいとこは?」  ううん。この辺は遊べるところがなあ。とぶつぶつ呟きながら考え込む由希。そして窓の外を見るとはっとしたらしい。私にコートを着てと言った。今は夜。お店も閉まりだした頃だ。というより、由希の家の周りは民家と田畑しかない。夜に外に出たってすることはないだろう。 「どこいくの?」 「庭に出るだけ」  え。まあ、由希のことだ。何かあるはず。とりあえず、コートを着て外に出てみる。ああ、寒い。由希はこの時期は八ヶ岳おろしがひどい時期だからねと苦笑いした。 「ねえ、空見てみて」 「…………え」  言葉を失った。そこには見たことがないくらい星に埋め尽くされた空が広がっていた。仙台にこんな星が綺麗に見える場所はまずないだろう。 「綺麗でしょ? この辺って笑えるぐらい何もないんだけど、星だけは本当に綺麗なんだ。だから、私は山梨が大好きなんだと思う」  由希がにこりと笑った瞬間、視界の端に流れ星が映った。
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私の大好きな山梨の大好きな風景。本当に、田舎すぎて笑えない地域で育った田舎者だけど、本当に夜空は好きだった。ちなみに春は桃と桜と富士山が一緒に見れるところ。夏は夕空。秋は紅葉した山。 田舎者は本当に美しい環境の中でぬくぬく勉強と音楽だけで育ちました(笑)

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