天川 青大

再読しました。 様々なシチュエーションで、色々な恋愛事情が綴られます。 いずれも失恋に至る過程が一人称で巧みに語られます。為に、まるで虚々実々の人間ドラマを目の当たりにした錯覚に陥るほどです。 主人公は成人女性であったり、男性であったり、時には女子高生であったりと様々です。 そこで、読者は必ず、ある疑問を持つ筈です。 作者は、女性なのだろうか? 男性なのだろうか? いや、男性に女子高生の心情表現は無理だろう。女性に違いない。 しかし、同僚とのやりとり、バーでのやりとりなどをみると、女性に、こんな表現が出来るだろうか? 作者は男性かも知れない。 そう感じさせられて最後まで分かりません。 それほどに見事な表現力です。 文芸の力を、まざまざと見せつけられた。 それが、正直な感想です。 この作品を一読して、作者が女性であるか、男性であるかを言い当てることは不可能でしょう。 その事が気になって作者様のプロフを確認しました。 しかし、プロフィールには性別の記載はありません。 ますます、ミステリアスです。 他の作品を読んでみました。 うーん。それでも、わからない。 更に別の作品を当たる。 これを繰り返して、ようやく分かりました。 しかし、ここでは言いません。 私の探求心で掴んだのです。簡単に明かしてたまるかです。 私と同様の疑問と興味を感じた読者の方は、作品を読むしかないのです。 文芸作品は、本来、物語そのものを楽しめば良い事なので、作者様の性別にこだわる必要などありません。 しかし、このレビューを読んだ方は、きっと同じ想いに駆られる筈です。 先ずは、ご一読を。 お薦めの短編集です。
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