天川 青大

この物語の中で、説明されない人物が一人だけ居ます。ケリー・ホプキンスです。 これには、どういう意図があるのだろう?  気になって調べました。 アメリカのケンタッキー州ホプキンスビル市ケリー村。つまり地名なのです。 この地で起こった事件。宇宙人(謎の生物)が民家に姿を現したという伝説です。この事件は、時を経るごとに少しずつ脚色されて伝わり、事の真偽は結局、分からないというものです。 なるほど。謎が解けました。 ミゲル先生の科白 「ケリー・ホプキンスという男を知っているか?」 この一文には、伝説とは、そのようなものという暗喩が込められていたのです。 うーん。粋ですね。 この物語は、若い読書層へ向けて書かれたと分かります。題材が若者向けというのではなく、この物語を通して、特に若い世代に伝えたいとの想いを感じました。 結びの独白。 ミゲル先生が僕達に何を教えたかったのか、今はそれが理解できる。 それを僕達に教えるために、あの人がどれ程大きな代償を払ったのかも、今ならばわかる。 (僕にとっては貴方が英雄です) これを、言葉を換えて言うならば…… (言葉を換える必要などないのですが) 英雄とは、命知らずの蛮勇のことではない。 英雄とは、毀誉褒貶(きよほうへん)の思惑を捨て、就中(なかんづく)売名の誘惑を粉砕して、自身の命も仲間の命も守り抜く勇者のことなのだ。 命とは、自分のもの、固有のものと思われがちですが、実は、そうではありません。 今、自分があるのは、親が居て、祖父母が居て……100万年前の祖先から繋がる命で、一度も断絶しなかった。 つまり何万回という世代交代を続けながらも途中で誰ひとり夭折(ようせつ)せずに、連綿と遺伝子が継承されて自分に繋がったということなのです。 その重みを知る者は、簡単に命を捨てられる訳がありません。 ミゲル先生は、恐らくそれを知っていた。 だからこそ、生き抜く大切さを説いた。 脚色された伝説に踊らされるな。 無駄死には、私がさせない。 尊い命を生き長らえる道を断固として説く。 例え職を追われようとも、真実を説く。 学生達は、やがて厳しい現実に直面して、初めて英雄伝説の嘘に気づき、ミゲル先生の心を知る。 ミゲル先生の生きざまこそ、真の英雄。 そして、それこそは無償の愛であった。 マッシーさん、お見事でした! 拍手を贈ります。
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こんばんわ。 素晴らしいレビューをありがとうございました(^^) ケリー・ホプキンスはブライアンの前の英雄として名前を出したのですが、 まさかネーミングの由来までズバリ当てられるとは思いませんでした。 天川さん、恐るべし…(^^;;; ミゲル先生の思いを全て汲み取って頂きありがとうございます。 天川さんの言う通り、この話は若い世代に読んで欲しいと思って書きました。 私はミゲル先生のような英雄ではありませんが、少しでも未来の地球に貢献出来たら良いなと思っています。 あとがきでも書きましたが、天川さんの作品から色んな事を学びました。 これからもたくさん吸収して、少しでも良い作品を書けるよう
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