【風呂場にて】  ──胸が苦しい。  もう、とっくに諦めは付いている筈なのに、それでもあの人のことを考えると、胸が締め付けられるように痛い。  頭では分かっているのに、体が理解することを拒絶している。  いい加減、ウジウジするのを止めろよ、俺。  胸が、また締め付けられるように痛くなった。  ……ちょっと待ってください。何か本当に胸が締め付けられるように痛いです。いや、恋なんかとかじゃなくて物理的に痛いです。  何か足がつるときって、グググッって感じがしますよね。そんな感じのが胸で起こっています。  胸がつっているんですかね? でも、足がつるのとは違って痛くはないんです。グググッって締め付けられて圧迫されている感じで痛いんです。  しかも、なんか顔が痺れてきました。あ、これ多分血が止まってますね。  ちょちょちょ! 流石にこれはヤバいです。何とかしなくては。  とりあえずお湯を当ててみました。変化なし。  深呼吸してみました。吸っている間だけ締め付けが軽くなりました。  ブラシーボ効果。意味無し。  あ、これヤバいかも。  とりあえず風呂から出ました。そしたら何故か胸の締め付けが無くなりました。少しはあるけど。  もしかして、幽霊でもいたんですかね。  ……っ! ということはさっきのは(美人な女性の)幽霊が後ろから抱きついていたということですか! 素晴らしい! あ、間違えました。怖い!  という訳で、かなり焦った話でした。いや、これ本当に本人は怖かったですよ。今は『勇者になれない僕ら』という歌を聴きながらアイス食べてますけど。
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