つばさ

真面目な女子大性 瑠夏と講師 藤乃川の実験恋愛。 まずその設定に驚きです。本気で好きな人から付き合おうといわれて 喜んだのもつかの間、なんとも厳しい条件付き。 付き合うといっても電話のみ。プラトニックで瑠夏のレポートを実証して みようという藤乃川の試みの裏に秘められた思惑…。 最初は全く温度差のあった二人の恋愛感情が電話を重ねるにつれてどんどん 変化していく展開が心憎いです。 特に藤乃川が純粋な瑠夏に翻弄されていくさまが微笑ましくてなんともいえずに キュンとします。 二人の電話でのやり取りで物語が進んでいくという変わった設定は、 宮本輝の往復書簡で成り立つ『錦繍』を連想しました。 エブでは見ない設定、そしてその展開の上手さ、 スマホ大賞2014「大人の恋愛小説部門」大賞受賞作  というのが納得できる重厚な作品。 面白くて一気に読んでしまいました。 瑠夏を束縛する絶対的母親があの人だったというオチも見事です。 作品のタイトルを変更されたとの由、長くて最初は変わったタイトルだなと 思いましたが読んでみて、レポートの表題通りでピッタリです。 続編もあるので、そちらもぜひお奨めします。
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