Azu

読んでいるこちらが恥ずかしくなってしまうくらいに読者を感化する力がこの作品にはある、と強くそう思わざるを得ませんでした。まるで作者様から私たち読者に問い掛けるかのような、そんな改行による空白の多さは、活字馴れしていない私たち現代の読者に対する細やかな配慮なのでしょう。傍点の多さも目立ちましたが、上と同様の理由かと思います。そして最たるこの作品の長所は、その内容の薄さであると私には感じられました。まるでエベレスト山頂の空気のように薄く澄み切った内容に余計な不純物はなく、私たちの心や脳の容量を一切として奪うことなく溶け渡っていくようでした。明日の朝にはもう、作品名はおろか主人公の名前すら思い出すことはないでしょう。主人公がやたら気配を消せる自慢をしていましたが、よもや作品の気配まで消してしまうという伏線だったとは及びもつきませんでした。 私の未熟さ故に、この作品は私の評価の領域から大きく外れているため星による評価は控えさせて頂きます。
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