-Kouzaki-

☆文房具戦争 復刻です ボールペン「これより、裏切りの徒。HB鉛筆の公開処刑を執り行う」 消しカス「「ざわざわ……」」 ボールペン「騒ぐなカスども! ……では、シャープペンシル司祭。始めて頂こう」 シャーペン「承知した。罪人をここへ」 鉛筆「くっ……」 消しカス「「ざわざわ」」 鉛筆削り「鉛筆さん!!」 カッター「! 止すんだ、鉛筆削りちゃん! 出て行ってどうするつもりだ!」 鉛筆削り「離してください! 私が鉛筆さんを削ってきます! 鉛筆さんが削りたての状態なら、あんなボールペンやシャーペンなんかに……!!」 カッター「あいつらがどうにかなっても、後ろにはあの万年筆がいる。ここで王国の処刑に手を出せば、今後あの化け物や国に追われることになる。悔しいが、堪えるんだ……」 鉛筆削り「鉛筆さんが上下の両サイドを削られてひし形みたいにされちゃうのを黙って見てるんですか!? そんなの!」 カッター「鉛筆が望んだことだ!! 俺たちだけは机の端から落ちてはいけない!!」 ボールペン「そこ、静かにしろ!!」 シャーペン「罪人、鉛筆よ。貴様は削りたての芯で、不特定多数の消しゴムに生涯消えることのない穴を空けるという許されざる悪行に手を染めた。誤りはないな」 鉛筆削り「それはシャーペン一族がやったことじゃない! おまけにシャーペンは折れた芯を中に残していくことまで……!!」 カッター「鉛筆削りちゃん!」 ボールペン「そこの鉛筆削り、何か異議でもあるのか!」 鉛筆削り「っ――……いえ。今のは……鉛筆を削っている音です」 ボールペン「ここはテスト時間の教室に等しい神聖な場だ! 弁えろ!」 シャーペン「鉛筆よ。どうなのだ」 鉛筆「――間違いありません」 鉛筆削り「……鉛筆、さん」 シャーペン「よろしい。では、処刑に移ろう。何か書き残すことはあるか?」 鉛筆「……はい」 シャーペン「述べてみよ。作文用紙二枚分以内でな」 鉛筆「……シャーペンさん。あんた、少し痩せたな。昔はもっと太い芯を持った、2B鉛筆だったってのに」 鉛筆削り「えっ」 カッター「知り合いか……?」 シャーペン「……何を言い出す」 鉛筆「今のあんたは……随分と細くなっちまった。芯も、引ける線も……利便性を追求するあまり、あんたは折れ易くなっちまった」 続く
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懐かしいですな!
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そういえばこれを書いたのは去年でしたね 私自身、ずいぶん懐かしく思えてしまうのがなんとも悲しいところです(笑)
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