最近読んだ短編小説の中では、抜群の完成度と「読ませる」引力・品格を兼ね備えた傑作だと高く評価します。  ヒロインの名前が「夏香」というのは、作中の情景描写との関連性もあるのですが、実は「かなえやま」という固有名文頭のアナグラムになっていることに気付き、ハッとさせられました。  秀多との心の交流が、美しくて切ないのは《もう決して戻れない、少女の(少年の)頃の想い出や通過儀礼的感情》を、トンネルという風景にインサートして描いているのも大きいと思います。  一言でいって、潤いとセンスを感じられる作品であり、作家さんです。  惜しむらくは、今作を「小学館Sho-ComiGP」にエントリーされているのですが、このコンクールは【130000文字前後推奨、文庫化出来る容量の長編小説(なおかつ高校生学園恋愛ものに限る)】という点です。  物語自体は素晴らしいのですが、今作品は募集要項に全く合っていません   (^_^;)  厳しいことを言うようですが、文学賞イベントに投稿・エントリーする際は、募集要項を確認することは作家として絶対に必要なことです。 (見たところ、やはり以前に長編小説書籍化を前提とした「スマホ小説大賞」にエントリーされていたようですし)  裏返せば、短編小説イベントにこそエントリーすべき力作です!  
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