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天陰村雲
天陰村雲
2014/11/10 7:24
朝起きて、何気無く小説のページを更新する。 そして、反応を期待しながら、栞の数を見る。 もうすぐ百人。 嬉しいとは思う。けど、そこにさして特別なものは感じない。 感じなくなっている。 当初を思い出す。 そういえば、最初は栞が挟まれていただけで嬉しかったものだ。 読まれていると、分かっただけで、自分にもまだ価値はあるんだと、そう思えた。 大袈裟かも知れないが、本当の事だ。 作品は、紛れもなく生きた人間から生まれてきている。 そりゃ、上手い人には勝てないさ。 キャラだって多彩とは言えないし、世界観だって作るの苦手だ。 ただの自己投影、願望投射……それでも、他に上手く自分を表す手段がこれしか無かったから……書いていた。 それは糾弾めいたものだったかも知れない。 誰も分かってくれないし、誰も見ようともしないから、それを子供みたいに批判……いや、ただ罵倒したくて書いた。 高尚なものなんて何も無く、ただ誰にも言えなかった本心を台詞に込める。 誰も理解してくれなかったから、誰かが理解してくれる物語が欲しかったんだ。 けど、途中から関係無く、楽しめた。 書きながら笑い、笑いながら書いた。 だけど、慣れというのは怖い。 誰かの気持ちを蔑ろにするのが怖いのでは無い。 ただ、自分の心が震えなくなるのが怖い。 それは紛れもない、本当に恐れていた表現の死では無いか。
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