いちごけーき

今日は何の日?【その1】 「だーん!」 突然上がった奇妙極まりない声に、ロークパーティは声の主の方へと視線を向けた。 両手を大きく広げ、満面の笑顔を見せているロークに、仲間は訝しげに表情を顰める。 「今日は何の日だ!」 「俺達のリーダーが狂った日」 「違う!」 冷静に言葉を並べたシードに反論し、ロークは彼の隣にいたミルへと視線を向けた。 「ミルなら分かるだろ?」 「んー、11月23日でしょ…あ、分かった!クロスト6周年の日だ!」 手を打ち合わせ、嬉しそうにミルが笑うが、ロークは口を突き出して腕を組む。 「まぁそれもあるけどさー、もっと重要なことがあるだろ!」 「もっと重要なこと?」 これ以上に何か大きな事柄があっただろうか、と首を傾げるリリーに、ロークは焦ったそうに足を踏み鳴らした。 「だから、クロスト6周年!6周年といえば6!6といえばローク!つまり今日は俺の日!」 「何こいつキメェな」 「いつ決まったんですかそんなの…」 「相手にすると馬鹿になる」 恍惚とした表情で胸に手を当て、一人で盛り上がるロークを置いて全員が口々に叩く。 隠しもせず悪態を吐いたシードの横で、耳打ちしてきたリーズにラルクが首を振った。 「何でそんな事言うの!?もっと盛り上げろよ!」 「何でロークを盛り上げるんだよ」 レクの尤もな言い分にも耳を貸さず、ロークは瞳を煌々と輝かせる。 「何か貰えないかな~」 「クリスマスまだ先だよ…」 「こいつの頭がメリークリスマスじゃねぇかよ」 完全にプレゼント気分の仲間にミルが小さく呟くが、それを掻き消す程の毒をシードが鬱陶しそうに吐き出した。

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