白羽莉子

応援特典 「リクとエリサが現代の高校生だったら」  眠い。  本当、何故この高校を選んでしまったのだろう。そう難しくないテストは眠気を誘う。隣の席の英里砂(えりさ)は数学が苦手だから大変そうだ。  先生に頭を叩かれた。どうやら答案を送れということらしい。頭をかきながら答案用紙を後ろから受け取り前に回す。眠い。チャイムが鳴って、先生が教室を出ると、隣の英里砂に話しかけられた。 「里空(りく)」 「何」 「これは?」 「ああ、これ積分だよ」 「どこが!」 「いや、これはさ」  眠い頭でもこれぐらいはできる。英里砂が首を捻りながらおれの手元を見る。これを教えて英里砂は理解しているのだろうか。 「ねえ、里空」 「何」 「何で文系にいるの?」 「社会が二教科あるから。それに、おれ、弁護士志望だし」 「もう人じゃない!」 「人だよ!」  後ろの席の奴がくすくす笑っている。英里砂がこうでなければ笑われることはないのだが。だが、それでいい。英里砂と一緒に、こうしていられれば。 「ほんっとあんたのドヤ顔むかつくのよ! 何よ! 頭いいからって!」  前言撤回。何でおれはこんなに意味わからないことで罵倒されなければいけないのだろう。 「ごめん」 「……あ。ごめんは私よ。い、い、言い過ぎ、た」  顔を真っ赤にする英里砂。胸がぎゅっと締め付けられる。これは反則だ。だからおれは英里砂と一緒にいることが好きなのだと思う。

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