旭 晴人

 読了しました。ものすごく胸が痛い最後でした。切ないだけじゃなく、どこか温かいベストエンドだったと思います。ゼロがいつか帰ってくる、そう考えるのは野暮でしょう。もちろん、帰ってきて欲しいですが。  玲への罪悪感がゼロとの関わりによって増幅と溶解を繰り返す、その描写が逐一切なくて胸を刺します。  また、柊を支える大人達の隠された温かさにも泣けます。小学生時代の恋愛を思い出すような甘酸っぱい雰囲気と、重厚なSFの世界観がシンクロして、まさにドストライクな作品でした。  この作品を書くに辺り、作者様がどれだけ読者側に気を遣っているのかが分かるようでした。世界に入り込みっぱなしになれるようにどこまでも違和感を排除することに徹底されたのだと感じ取れました。  章の冒頭からの急展開、そのスピード感も凄かったです。「立っていられない」から始まるいきなりの柊の体調不良、思わずハラハラしましたし、ゼロがいきなり姿を消すのでものすごく不安になりました。それまでずっとベタベタくっついてくれていた反動なんでしょうね。めちゃくちゃ巧い。  勉強になることばかりの作品でした。何よりこれだけ可愛い女の子を生み出せるとは……書籍化求む! ゼロの喋り方とか大好きです!  ゼロが玲の遺しただけのものではなく、ゼロ自身が考えて玲を引き継いだ存在になったから、これだけ魅力があるんでしょうね。主人公の心理描写も超巧いし……ああ文字数が足りない!  とにかく、未読の皆様へ超オススメの神作です。本当に、この作品に出会えたことに感謝!
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