あっSHIちゃん

イベント『労働者平和文学クラブ』をオープンしています芦野と申します。 この度、吾妻様がご参加してくださり大変ありがたく存じております。 この小説は、昨年、世間を騒がせた細胞関連の女性研究者をモデルにした作品です。 最初の数ページから、私は大変引き込まれました。 なぜなら、あまりにもリアリティーに富んだ作品だからです。 それもあって、今まで、外側から冷たい視線でしか見れなかったものが、非難されている女性の視線からいろいろと見ることができました。 世間には、裏と表のようなところがあり、真実というものは まったく語られずに抹殺されてしまうことがあるように思いました。 ちょうど、月のようなものです。 私たちは、明るく光っているところをいつも見ることができますが、 実際は、その裏側の暗い部分もあって なかなか見ることができないのです。 この作品は、その裏側を上手く描きだすのに成功しているように思います。 主人公の女性は、いろいろと非難されていますが、 実際は、真実が言えない、さまざまな枷(かせ)をされているのです。 その枷(かせ)の部分がとても説得力があり、 もしかしたら、これが真実ではないかと思いました。 そして絶望に身を投じながらも、亡きおばあちゃんとの心の語らいは おもわず、目に涙を浮かべてしまうほどでした。 主人公の女性には、これからも世間から好奇な視線が浴びせられることでしょう。 しかし、そのままでは本当の負けなのかもしれません。 昔、赤穂浪士という人たちがいました。 藩主が江戸城内で、侮辱を受けて、つい激情してしまって 刃傷沙汰になってしまい、お家は取り潰しになって、 本人は切腹、藩士たちは浪人となりました。 たぶん、世間の視線はとても冷めたものだったと思います。 しかし、彼らは、それで終わりませんでした。 自分たちのプライドと命を掛けて、みごと汚名を挽回しました。 これが、有名な忠臣蔵の47士の物語です。 メンバーの中には、未成年から80歳近い人もいました。 彼らは、世間から何を言われようとも、 最後まで、自分たちの信念を忘れずにいたのです。 主人公の女性研究員も、ぜひ、赤穂浪士のように強くあってほしいと願っています。
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芦野さん 拙作へのレビューどうもありがとうございます。 こんなに高い評価で恐縮です。 実際の事件を基にはしましたが、作中のヒロインは決して渦中の女性元研究員を忠実に描写した人物像ではなく、私なりの美化や理想が加えられています。 現実の女性元研究員と異なり、作中のヒロインは綿密に綴った研究ノートを公開して、外部での再現実験にも成功して、いわば、第三者と万能細胞の実現性を共有していたにも関わらず、彼らから裏切られたのです。 彼女の絶望感は、自分が科学界を追われたことへの挫折感や道を絶たれた将来への悲観もありますが、目先の利得のために自分を陥れ、切り捨てた挙句、真相を隠蔽していく周囲への不信
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吾妻様:お便り、誠にありがとうございます。(ご返事が少し長くなりまして、何回かに分けてお送りすることをご了承してください) 吾妻様の『月夜の晩に』のすぐれているところは、短い作品でもあるにもかかわらず、その後もいろいろと考えさせられるところだと思います。 街中で歩いていても、なんとなくヒロインのような女性とすれ違うと、ついこの物語と照らし合わせてしまいます。 たぶん、こうして作品に感情移入ができるということは、ある意味において、やはりヒロインではない人物だからこそできるのかもしれません。 やはり、本人が思っていることは、なかなか他人には理解されず、反対に、理解することもできないような気

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