西之村 螺

100ページもあるので読むのに相当時間がかかるな…と思っていましたが、面白くて一気に読めました。 実は大人が書く子供、というのはいい子過ぎたりして少し拒否感があるのですが、香奈ちゃんやるりちゃんはじめ登場人物みんなが個性的で、違和感を逆に楽しむ事ができました。 冒頭部分の高尾さん登場シーンもとても印象的です。高尾さんのどこかずれた所に、こういう人、いるいる、と笑ってしまいました。 その情けない高尾さんが顔も知らない奈々ちゃんという女の子と出会い、宇宙人という名のヒーローへと変化していく。 コメディというよりは、日常を舞台とした一種の冒険もののような気がしました。 ストーリーだけでなく、その書き方語り方にも引き込まれました。 奈々ちゃんと高尾さん、二人の日常は繋がっていないようで、少しずつ繋がっていく。 それを読者に推察させるように書いているのが、わくわくしてとても良いと感じました。 一つだけ気になる所があるとすれば、プロローグの章の地の文です。 一つ一つの文は読みやすく、ユーモアがあり、描写力も生き生きとしていて素晴らしいのですが、それぞれの文が流れとして繋がっていない、箇条書きのような印象を受けました。 もしかすると高尾さんの落胆した心情を表現していらっしゃるのかな、と思いましたが、それにしては少し表現が豊かすぎるためかもしれません。 私の文章力はペンギン様には到底及びませんので、軽く聞き流していただければと思います。 ここからどのような結末に向かっていくのか、楽しみです。

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