帰り道、僕は途方に暮れていた。今日は世のカップルが喧騒に包まれるバレンタイン。今朝行ってくる前に、彼女には今日は早く帰ってくると伝えて学校に向かったのだ。だが、僕は忘れて部活に行ってしまい、今は夜の七時。何時間彼女を待たせたのか分からないが、確実に妬まれる事は分かる。 つい先日も他の女子から少し誘われた事があった。すぐに断り、彼女に謝ったのにも関わらず、次の日の朝にはなぜか離婚届が置いてあった。僕達は結婚していないのにだ。 まぁそんな訳で、今日は少し憂鬱だ。このわが家の扉を開けたら何をされるか分からない。おそるおそる僕は扉を開けた。 「……っ! ………………あれ?」 真っ暗だった。この時間帯には普通に起きているはずだし、もしかして何かあったのでは――。僕は家中の部屋を探した。 「良かった……」 すぐに見つかった。彼女は寝室に寝ていたのだ。彼女が抱き枕にしていた僕の枕を取り、定位置に置く。機嫌を直してもらうために、彼女の好物で飯でも作るか。 「…………しないで」 声が聞こえた。僕は独り言をしていない。となると……声の主は分かった。 「一人に…………しないで…………」 彼女は泣いていた。おそらく、寂しいが僕は帰ってこない。捨てられたんじゃないかと思って、僕の枕を使ってふて寝していたのだろう。僕が枕を取り、彼女のそばに置いたら幸せそうな顔になった。 リビングに戻り、電気をつけたらテーブルの上にハートのチョコがあった。その横には『十倍にして返しなさい。その時は早く帰ってくること。』 僕はピンクの梱包を開け、甘いチョコと幸せを噛みしめた。 ※このあと無茶苦茶セックスした。

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