黒ノ主

河川敷に戻ってきた俺はジジイに初めて声をかけた。 ジジイは特に驚いた様子もなく、俺のために画材を片付けて横を開けてくれた。 俺はそこに座り酒とタバコをジジイに渡し、俺は人生で初めてタバコを吸った。 一口。 ああ、うん、なんだ、まずい。 ジジイはそんな俺の内心を察したのか人目も気にせず豪快に笑った。 煩いジジイだ。 まだ笑っているジジイを無視して俺は酒をあおった。 久しぶりにこの時間に呑んだが、やっぱりうまい。 特に話すこともなく、俺とジジイはタバコを吸っては酒を呑み、酒を呑んではタバコを吸っていた。 悪い心地はしなかった。 むしろ心地よかった。 心地よい風が吹いているからだろう、きっとそうだ。 ジジイの隣に座ってから半刻、タバコを吸えて酒も呑めたから満足したのか、俺に別れの挨拶をしてその場を去った。 さあ、俺も帰ろう。 お昼ご飯を食べてから帰ろうか、それとも家で食べようか。 久しぶりに楽しい昼食になりそうだ。

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