ワイン

イベント参加ありがとうございます。稚拙ながらレビューさせてもらいますね。 まず初めに、当たり作品に出会えたと思っております。 表現力が素晴らしいですね。いつもマーロンの先にいたマイケル。 何でもできたマイケルを、マーロンは妬むこともあったかもしれません。 三人称(神視点的な文章)ではありますが、マーロンの一人称と言っても問題がないほど、文章に感情が流れているようでした。 色々な思い出を呼び起こしていくが、いつもマーロンは置いていかれたような、切ない寂しさが漂っています。 そしてそのままマーロンは大人へ・・・。 機内でまた思い出に耽っていますが、このときもマーロンはマイケルに劣っていました。 ここはもう完全に一人称ですね。マーロンの感情が痛いほどに伝わってくる。 マイケルは既に死んでいて、彼の葬式にはたくさんの人が集まった。彼はここで自虐的なことも考えていますね。やはり嫉妬だってあっただろうし、死ぬという人生最期の瞬間にさえ、マーロンは置いていかれたわけです。彼は一度だってマイケルより優れていませんでした。 しかし、最後のページで彼の心にある変化が起きる。 幼い頃のこと、マイケルが滑れて、マーロンは滑れなかった。彼の頭にはこの思い出が色濃く残っていたのでしょう。 あのときは滑れませんでした。だけど最後は違う。 マイケルに置いていかれ続けたマーロンが、初めてマイケルに近づこうとしている。こんなことは彼の人生には今までなかった。 置いていかれ続けることで、彼の中にも諦めがついていた。それでも、彼は最後に足掻くのです。 離れ続けた彼らが、少しではありますが近づいている。この構図は非常に美しいと思いました。 彼はこの後生き残るのでしょうか。否、それを書く必要はありません。 結果がどちらに転がろうと、最後の行動は勇気の象徴でした。全体的に暗いような、寂しいような作品の中に、一筋の光が見えたエンドなのです。 いはやは、実に感動的でした。星は文句なしの五つ! あとは細かい点ですが、「黒人」という差別的な表現を使ったのは、マーロンが大人になってからでした。それまではチョコレート色だったのですが、大人になって諦めがついていたマーロンが放つ言葉だったからでしょう。 こういう細かい表現ができるようになりたいものです。面白かった!ありがとうございました!
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