前にこんなことを聞いたことがあります。 「食べ物の描写を『美味そうに』表現出来る物語は、極めて完成度が高い」と。  伊丹十三監督の名作『タンポポ』を観た人は、絶対に「たいめいけん」さんのふわふわオムライスや、ラーメンをお腹いっぱい食べたくなるはずであり、飴玉雪子さんの描かれた今作も見事に当たります(^O^)! ……「スイ・ヤキ」の注文符丁。その掛け声と店内の薫り。  冷えたビールと焼き餃子は、これ以上ないくらいにマッチしています。  鬼に金棒。鴨ネギショット!スタートレックにミスター・スポック!(違)  それはともかく、食事をする(食欲を満たす)という日々の何気ない瞬間が、人間にとって無防備である・ゆえに魅力的であることを、今作ではほのかな想いと共に、読者に見せてくれるのが嬉しいですね。  唇を動かし、喉を鳴らす。それが、さり気なくも色っぽい。  餃子の聖地として知られているのは、栃木県の宇都宮市ですが、他にも静岡県の浜松市、福岡県北九州市には「鉄鍋餃子」なるご当地グルメもあります。  焼き餃子の発祥は、元々中国東北部・旧満州地区と考えられ、現地にいた日本人が帰国後に広めたと言われています(諸説有り)。  また、中国より更に北のロシア・シベリア地方には、スープに浮かばせた餃子「ペリメニ」を厳冬期にたくさん作っておく風習もあり、餃子は日本・中国・ロシアなど、東アジア発祥の《ソウル・フード》としての地位を確立。  ソウル(魂)を揺さぶるFOOD(食べ物)と片想い。  一瞬の「味わい」豊かな感情の機敏を、短編の中で紡ぐ手腕がお見事です。  きっと、あなたも餃子が食べたくなる!  出会いがそこには待っている!?
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