贋作師の闇と悲しみが伝わって、巷でありふれたラノベ特有の軽さから離れられる感覚もありました。古美術界の目利きが囚われやすい俗世との隔絶を、葵ちゃんが引き戻してくれる温かさがこの作品の素敵さです。英国本家のホームズの嫌らしさと、目利きの持つ嫌らしさ、どちらも読みとれて味があります。さながら蔵は221Bですね。 好きなフイクションで女性の狐という目利きがいますが、彼女もいけずで勝気な敏腕です。もう二度と新作を読めない作家ですが、同じ空気を持つ冴えた作品に会えて、感謝のコメントを残します。
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