autumn

この物語は韓国人女性ソンミを通じて90年代の韓国社会の闇を暴き、その実態をストレートに、とてもリアルに語ってます。 文中にでてくる「土地成金」という言葉は著しく変化を遂げる韓国経済を象徴していて、 その影には、社会から取り残され存在に値しない人々がいる。 その証拠にナミの言動には韓国社会の根深い問題が色濃く投影されています。 友人の恋人である韓国とアメリカのハーフヨハンの事情を目の当たりにし、変わることのない社会の構造に愕然とします。 出生と月の町が、人生のネックになると再認識する一方、 ヨハンの確固たる意志は、ソンミ自身の受け身過ぎる思考に波紋を投げ掛けます。 負の連鎖からの脱出は、更なる連鎖を生み、 鬼畜としか言いようがない父と、その父に洗脳され、もはや何が本当かさえ見失ってしまった母。 両親から愛されることなく 実の祖母からも人格を罵倒されながら、 それでも周囲に支えられ、賢明に根を張り、人生を再生しようとするソンミの姿はけなげで目頭が熱くなります。 どんな事態に陥っても誰よりもソンミを護り愛してくれる頼もしいばぁちゃん(母方)。 寄り添うだけで心の支えとなる愛するスティーブ。 救いとなる登場人物も魅力的です。 そして、ジン ソンミという名前には書き手の主人公に対する愛着が籠められてます。 その他にも生活のなかに散りばめられた沢山の韓国を感じることができました。 韓国社会が抱える多くの闇は今もなお続いてますね。 ソンミが望むことは人として些細なことです。僅かな幸せをつかんでほしいと切に願っています。 完結おめでとうございますm(__)m 韓国社会の構造に翻弄されながら悩み苦しみそして、人として生きることを辞めなかったソンミ。 特に終盤は「家族」とは、しがらみとは何かを改めて考えさせられました。
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