たすう存在

この作品の感想をの述べるにあたっては、まず何から手を付けるかにとても迷います。 しっとりとレトロな雰囲気に満ちた美しい文章。 アリスや、明治・大正の建築をモチーフに取り入れた重厚かつ魅力的な世界観。 草介とアリスの見た夢と時系列の捻じれという作品の根幹をなす謎はファンタジックでありながらもミステリーめいたロジックが見え隠れするようで惹きつけられますし、丁寧かつメランコリックに描かれる人物たちの心情は、誤解を恐れずに言えば在りし日の昼メロのようにどっぷりと感情移入してしまいます。 構成が凝っている分、物語はシンプルに纏められていて、物語に取り組もうという気にはさせますが、難解とは感じません。 とまあ、非の打ちどころの見当たらない素晴らしい作品ですし以上でレビューを終了しても良いのですが、やはり何かひとつふたつは難癖を付けておかなければいけないような気がしますので、敢えて言わせてもらいます。 バ レ ン タ イ ン イ ベ の コ ン セ プ ト 分 か っ て ま す か ? ……いや、確かにきゅんもしますよ? でも、ホラ、バレンタインといえば、テレテレしながらチョコレート渡してわーいと、そんなイメージあるじゃないですか? それが、大正の建築家ですよ? ランドさんは一読してあの人がモデルだなと思いましたし、ランド邸も、以前作品執筆のために散々調べたあの洋館がモデルだなと思いましたし、冒頭は大理石の名前とか金唐皮紙とか、何というか、とってもバレンタインからかけ離れて魅力的じゃないですか。 じゃあバレンタインが無視されているかというと、そうではなく、作中の重要なシーンでとても印象的な使われ方をしています。 ……あれ、じゃあ問題ないですよね……。 うんと、じゃあアレです。 バトンを渡す相手の苦労を分かってますか? これだけ重厚で完成された世界観をほいっと渡されれば、ホワイトデー担当者は泣くしかありませんよね。 これだけの素晴らしい作品を書き上げたことには称賛の言葉しか出ませんが、作者さまに足りないのは「優しさ」です。 というワケでした←ナニガ? 素晴らしい名作をありがとうございました。
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優しさ足りない、に一票←
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ハトメぇのコメント開こうとしたら、スマホのセキュリティに強制終了→ロックかけられた。どんな呪いだ!(笑)
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