静繧 憂

「嬉しいな。まさか祭に誘ってくれるとは思わなかったよ」 「これなら異世界でも楽しんでもらえるだろうって、ウエストが提案してくれたんだ」  城下町を彩る色鮮やかな飾り付けを目にしながら、雄とビエラはウエストの案内の下、一時の安らぎを謳歌するために春の祭典へと訪れていた。 「お持ち帰りは、法律上基本的に無理だから……。なんかこの世界ならではのものが食べてみたいな」 「この世界ならではのものか」 「言っとくけど、甘すぎなければデザート類いもいけるよ。何かと食わず嫌いあるけど」 「ははっ。それ、いけるって言えるのかな?」  雄なりの気遣いなのか。先頭を歩くウエストに聞こえるように、ビエラと二人で会話を弾ませる。  どうやら男だからと言って、普段からデザートを避けるメンバーではなさそうだ。  それを知ってか知らずか、黙々と歩き続けるウエスト。  お得意のウンチクは、出発前に耳にしたぐらいだ。  ふと(何かあるのではないか?)とビエラが妙な違和感を覚え始めた頃、城下町に設置されたスピーカーから案内放送が流れる。 『お知らせいたします。間もなく、トリオ・トーナメント戦の受付を開始いたします。この度の優勝者には賞金だけではなく。なんと春のデザート選手権優勝者、パティシエのプリンク・イダオレ様の一年デザート食べ放題という特権付き!! 彼女の応援に応えるのも良し! 家族サービスに使うにもよし! 一人でも多くのご参加をお待ちしております!!』  この瞬間、咄嗟に雄の手を引いて裏道へと誘導させるビエラだったが、時すでに遅し……。  背後に立ったウエストが、気迫で本音を訴えるように二人を制止する。 「お二人供、少しお話が」  ――来た!?――  見え透いた展開、強ばる頬。  気の利いた提案というのは、どうしてこうも裏があるのだろうか。  言うまでもなく、足を止めた彼らに拒否権はなかったそうな。 >>> 文字数に怯えながらも、 無理難題に応えてくれた香河さんに 言葉だけでは伝えきれない感謝の気持ちをプチ小説に託して、心からお礼申し上げます!! 有難うございました!!! ひゃっほぉ(*≧∀≦*) まさかのアニメ化だよ!!(違
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