吉田安寿

 子供の頃に読んでいたお伽話を大人になってから読んでみると、様々な隠喩や教訓に気付き、新たな発見があります。この「天鵝の裳」は、大人の感性に適うおとぎ話だと思います。  吾妻さんの文体は、物語の世界を俯瞰したように常に冷静で客観的。豊富な知識と語彙から紡ぎだされる描写は、浮世離れしていて、色彩美にこだわった映像を見ているかのようです。  とても美しいお話でした。
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尾花さん 拙作へのご高覧及びレビューどうもありがとうございます。 こんなに高い評価で恐縮です。 ご賢察の通り、本作は大人の視点で再構成したおとぎ話です。 だからこそ、天女ではなく、厳しい現実を生きる夫の側にウエイトが置かれています。 日本ではなく古代中国を敢えて舞台に変更して、「日生(=日々を生きる、『星』の分解)」「綸裳(=衣裳を織る、綸子の衣裳)」と人物のネーミングに意味を込めやすくしました。 そもそも「羽衣天女」の天女の扮装自体が古代中国風なんですよね。 豺(やまいぬ)や虎の潜む険しい自然のイメージも、日本よりは中国の方が似つかわしく思えたのでそうしました。 静謐な竹林や澄ん
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